トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

便所の神様

「便所の神様」7

「ふぅ……」 その様子を天上から見ていた便所の神さまは、思わず溜息をついた。 そして、背後にあった最後のうんちの形をした〝運〟を、地上へと放り投げた。 そう、余りにたくさんの人々が良いことだけを求めたので、便所の神さまはご自分の持ち分である〝運…

「便所の神様」6

今や先代の後を継ぎ、社長になった亘は、『トイレ掃除でウン掴め!』や『ウンチの中に幸運が』などの著書を多数書き、一躍有名になっていた。 マスコミにもたびたび登場する、成功哲学のカリスマとしてもてはやされたのだ。 トイレ掃除の輪は、全国に広がり…

安いワインでカンパーイ!

昨日は妹と二人で、安いワインを開けて、 乾杯! このワインは彼女のお姑さんが人からいただいた物で、 巡り巡って、私のところへ来たものでした。 (要は誰も飲まないということ…) もう、酒はやめるぞー!と誓いながらも、 ま、いっか! と呑んでしまう、…

「便所の神様」5

トイレ掃除が取り持つ縁で結婚した二人は、仲良く揃って、自分たちの家のみならず、公園のトイレ、駅のトイレ、劇場のトイレ……と、トイレと見れば綺麗にして回った。 その姿を不思議に思った人々が尋ねた。 「なぜあなた方は、自分と関係のないトイレまで掃…

「便所の神様」4

評判を聞きつけた社長は、誰が毎日トイレ掃除をしているのか気にかかり、ある日こっそり見に行くことにした。 すると中途採用の新入社員が、額に汗して便器を磨いているではないか。 その姿に「今時、珍しい若者じゃ」とすっかり感心した社長は、この男を自…

「便所の神様」3

まずは、床に積み上げあるマンガ雑誌を片付けて床が見えるようにした。 帚で天井や窓の蜘蛛の巣を払い、壁の落書きをごしごし擦って消した。 床の埃を帚で取ると、茶色や黄色のシミを雑巾で何度も何度も綺麗になるまで拭き取った。 最初は嫌々ながらやってい…

「便所の神様」2

「やったー!」 亘が喜んでいると、便器の中から突如、ボワワワワン……と音がして、真っ白な煙が立ち上った。 そして中から白い髭を蓄え、色の黒いでっぷりと太った仙人風な老人が現れたのだ。 老人は、驚いて腰を抜かしている亘に向かってこう言った。 「ワ…

「便所の神様」1

便所の神様1 むかーしむかし、珍山荘というボロアパートに、便所の神様が住んでおられたんだそうな。 珍山荘は築五十年にはなろうという傾きかけたアパートで、二階の共同トイレに便所の神様は住んでおられた。 共同トイレは、今時珍しい和式で、大家のばあ…