トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「便所の神様」7

「ふぅ……」

その様子を天上から見ていた便所の神さまは、思わず溜息をついた。

そして、背後にあった最後のうんちの形をした〝運〟を、地上へと放り投げた。

 

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そう、余りにたくさんの人々が良いことだけを求めたので、便所の神さまはご自分の持ち分である〝運〟をすっかり使い果たしたのだ。

 

これからはいくら便所掃除をしても、いいことなど起こらないだろう。

 

地球上のトイレは確かにキレイにはなっていった。だがそれに反して人々の心は、逆に欲得ずくで汚れてしまったのだ。

 

ふぅ……。

 

便所の神さまは、もう一度深い溜息をついた。

 

ご利益が無くなった時、果たしてどれくらいの人々がトイレ掃除を続けてくれるのか、神さまには見当もつかなかった。

 

トイレ掃除と運は何の関係もないが、それでもいつもトイレを清潔にしていると、やがてはそれが心の浄化をうながし、自分自身を輝かせることに繋がってゆく。

人は神の力などではなく、自分の力で自ら成長させるものなのだ。

そして、そういう人々が本当の意味で〝便所の神さま〟になるのだと、思うのだった。

 

 そうして、

「ご利益、ご利益」

と言いながら熱心に、トイレ掃除にいそしむ地上の人々を、悲哀の眼差しで眺めるのだった。

 

 

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おしまい