トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「マザーを探して」3

四月になり、僕たちが四年生に上がった頃、燃えるような赤毛の男の子が転校してきた。

それがユーリだった。

ユーリは、マザーが保管されている〝光の塔〟の主任管理者として、赴任してきたお父さんと一緒に、この村へやってきた。その前はレニングラードにいたそうだ。

大柄な少年で、流行の服に、ピカピカに光る靴を履き、僕たちのような田舎の小学生とは全く違っていた。

ユーリを初めて見た時、クラスの全員が固まってしまったほどだった。

 

お昼休みになると、早速、アレクセイがユーリに話しかけた。

彼は照れたように顔を赤くしながら、もぞもぞとズボンのポケットに手を突っ込んで、

「やるよ」

と小さくなった消しゴムを差し出した。

 

それは、昨日僕が彼に奪われたものだった。

ユーリは「ありがとう」と言って、チラリと見たが、

「大丈夫、僕は持っているから」と言って、筆箱の中から、真新しい消しゴムを取り出した。

 

アレクセイは飛んだ赤っ恥を掻いたという風に、頭を掻きながら、僕の方を睨んでいた。

僕は首をすくめた。

この分だと帰り道、またどんな無理難題を言われるか分からない。

僕は心中穏やかではなかった。

 

そして、案の定、放課後、僕はアレクセイから、

「チビた消しゴムしか持っていなかった罰」として、

しこたま殴られたのだけれど……。

 

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つづく

 

 

 

毒夫。上巻: トナリのサイコパス?あなたの隣のヤバい奴? (パモンブックス)

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