トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「マザーを探して」6

それは大人たちとて同じ事。

もしかすると、隣のおじさんにも来ているのかもしれないのだ。

そう思うと、人が大勢集まる、今年の収穫祭には、あまり行きたくはないのだろう。

かと言って、行かなければ、「ああ、あいつに〝赤紙〟が来たんだな」と言われてしまう。

 

だから、父さんは渋々といった様子で出かけたのだ。

父さんはどんな気持ちで今年の〝ジェニィ〟を見るのだろう。

 

もしかすると、この村からも来年は〝ジェニィ〟が出るかもしれないのに…。

そう思うと、とてもまともには見れないのかもしれない。

 

「お待たせ」と言いながら、僕はランプでユーリの顔を照らした。

燃えるような赤い髪は波打ち、透き通るような白い頬にまとわりついている。

そうして顔いっぱいのそばかすが浮き出ていた。

瞳は深淵なブルーだ。

その目を見ると、僕はいつも引き込まれそうになる。

彼の魂に魅了されてしまうというか…。

その美しさに、一瞬胸を打たれてしまうのだ。

 

「さあ、行こう!」

とユーリは僕を促した。

僕も「うん」と頷いた。

 

そうして、丘のはるか彼方に光る、ガラスで作られた美しいロケット型の塔を見た。

塔は暗闇の中に、今日も光輝いていた。

あそこに〝マザー〟が居るのだ。

人類のまだ誰も見たことがない、〝マザー〟が―。

 

月明かりの中、僕たちは、塔を目指して、丘を駆け下りて行った。

誰もが憧れる〝マザー〟を、一目見ようと―。

 

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つづく