トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「レンゲの花の咲く頃に」6

次第に翔くんは変わり者扱いされていきました。それは三歳で入った幼稚園でも同じことでした。

 

翔くんには周りの友だちがしている遊びなんて、馬鹿馬鹿しくてやりたくありませんでした。

 

だから、先生からの連絡帳にはいつも、

 

「今日も隅っこでひとり、天井に向かって喋っていました」とか、

 

「今日もお遊戯を嫌がって、泣いていました」

 

などと書かれてしまうのでした。

 

翔くんはひとりで何でも出来たし、それに第一自由にやりたいのです。強制なんかされたくなかったのです。

 

だから、みんなでやるお歌やお遊戯なんて、アホらしくて、滑稽で、やってなんかいられなかったのです。

 

逆に園のお友だちを、「よくやるなあ」と冷めた目つきで眺めていたのでした。

 

でも先生や友だちは、そんな翔くんが理解できずに、いつもクラスの和を乱す彼に困っていました。

 

あまつさえ、何もない空間に向かって、ひとりで楽しそうに話す翔くんには、気味悪さまで感じていたのでした。

 

そのせいでしょうか。

 

気がつくとまた、ママはため息ばかりつくようになっていました。

 

口では、いくら「この子は自由にやらせていますので」と園長先生に言ったとしても、その実、ママが怒っているのが翔くんにはよく分かりました。

 

なぜなら例の夜叉が、再び翔くんには見えたからです。

 

ママの後ろに恐ろしい顔をした鬼が、真っ赤な口をカッと開けているのが見えたのです。そして、ママがこちらを向いたとき、夜叉も一緒に振り返り、その動かない目で翔くんをじっと睨みつけるのでした。

 

それを見ると翔くんは、どうしていいのか分からずに、悲しくなるのでした。

 

ママはボクのことが嫌いなの。

ボクは悪い子なの……。

 

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つづく

 

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