トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「ホラーな彼氏」8

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「どういうこと?まるで先輩じゃないみたい?」

 

「さあね。時々あるのよね。なんかリセットされるというか、別人になっちゃうっていうことが」

 

ええ〜っ!!じゃあ、これは先輩の姿をした別人なのォ〜?

 

「まあ、いいじゃない?大好きな先輩が生き返ったんだから。さあ、帰った、帰った。そいじゃああんた、例のもの、頂くからね」

 

阿古屋さんはそう言うと、私たちをさっさと追い出し、ドアをバタンと閉めた。

 

 

月明かりが照らす中、私は裸の先輩と二人で、森の中をとぼとぼと歩いた。

 

なんで—なんでこんなことになっちゃったんだろ・・・?

 

あたしが考えていた結末と違う。

あたしはもっと喜んでくれて、相思相愛になれると思っていたのに・・・。

 

考え事をしていた私に、突然先輩が言った。

 

「じゃ、俺こっちだから」

私はきょとんとした。

 

「え、どこ行くの?先輩」

 

「どこって、俺ん家、こっちだから」とこともなげに言う。

 

まずいよ、まずいでしょ〜、それは!?私は泡喰った。

 

どう説明すんのよ〜。墓場から生き返ったって言うの〜!!!

まずいよ〜。

 

私は慌てて言った。

 

「せ、先輩のご家族は先輩が死んで、そのショックで引っ越しちゃったみたいよ。連絡付くまでしばらく私の家に居たらどうかしら?」

 

そう言ってしまってから、それもまずいよ〜!と頭を抱えた。

 

先輩と同居!?うちの親がなんて言うか!?

 

「え!?そうなの?お前ん家に?しょーがねえな。んじゃ、厄介になるぜ」

 

「どうぞ・・・」

 

私はもう泣きそうになっていた。

 

 

つづく

 

 

嫁の家出 (実業之日本社文庫)

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