トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「ホラーな彼氏」12

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クラスの友達は私の顔を見て、

「なあに、その鬘〜?先生にバレたらチョーヤバいんじゃん!」と言ったが、顔の皺をみると、口を噤んでしまった。そしてコソコソと三、四人で固まって私の方をチラチラみていた。

 

「・・・・・・」

無理もない。一夜経ったらおばあさんなんて、まるで浦島太郎の世界だよ。

と私は涙が出てきた。

 

休み時間に担任から呼び出しを喰らった私は、恐る恐る職員室に向かったら、

「何か悩みがあるのか?遠慮なく先生に相談しなさい」と言われた。

 

「いえ、別に・・・」と即座に否定したけれど、

先生は疑わしそうな目で私を見ていたっけ。

 

ふと、窓の外を見ると、トンレチコートに帽子、サングラス姿の男が校庭を歩いていた。それを見たとき—

 

「せ、先輩〜!」と思わず身を乗り出してしまった。

 

驚く先生に一礼して、私はすぐに校庭へ下りていった。

 

先輩、何でこんなところに〜?

あれほどこないで、って言ったのに。

 

下へ下りると怪しいトレンチコートの姿は見えなくなった。

「あれ?」と捜すと、テニス部の部室のドアが開いていた。

中を覗くと、先輩がラケットを手に素振りの練習をしていた。

 

「先輩・・・」

 

「おっ、相沢!いや、ちょっとね。俺、一度やってみたかったんだよな。裸にテニス」

そう言ってコートをバッと脱ぐと、そこはスッポンポン!

 

「いやあ〜〜〜!」

私が叫び声を立てると、ワハハと笑って、前を閉じた。

 

「冗談だよ、冗談。なんだかテニスがむしょうにしたくてな。俺、ここで誰にも見つからないように、練習してるから、心配するな」

 

心配するな・・・と言っても、コートの下は裸の足にお父さんの革靴を履いている。

充分、怪しい・・・。

 

でも先輩、死んでもテニスは続けたかったのかしら・・・?

私は先輩がなんだか可哀想になってしまった。

 

帰ったら、うんとかまってあげなきゃ、と思った。

 

つづく

 

 

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