トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「ニャン太を探して」50

その後ろ姿を見ているうちにナナコは決意した。

 

今日こそはなんとしてもドライブに行くのだ。

何がなんでも。

もうリョーヘイの都合ばかりに合わせてはいられない。

 

「……」

 

ツカツカと光りの射さない寝室へ足音高く入ったナナコは、寝ているリョーヘイの布団を剥ぎ取った。

そして、身体を思いきり揺さぶった。

 

「起きろッ! 起きろ。今日は出掛ける約束でしょ? みんなもう待っているんだよ。お弁当も出来ているんだよ。あとはリョーヘイだけなんだよッ!」

 

しかし、「う、う〜ん」と言ったきり、リョーヘイは目を覚まさない。

 

それが更にナナコの怒りに火をつけた。

 

「コラッ! いい加減にしろッ! 早く起きろ、起きろッたら!」

 

そう言いながら、今度は剥き出しになったリョーヘイの身体を叩き始めた。

 

寝ぼけながら、痛い、痛いと呻いたリョーヘイは、「んもう、うるさい」と一言言うと、また布団を頭から被った。

 

「—!!」

 

それを見たナナコは、こいつ、また約束を破る気だと思った。

ナナコの胸には、行く行くと言いながら何度も約束を破られ、仕方なく、作った弁当を虚しくゴミ箱に捨てた苦い思い出が甦ってきた。

 

もう許せない。ここまでバカにされたら、許してはおけないと思った。

 

「……」

 

すっくと立ち上がったナナコは、いきなりリョーヘイの身体を足で踏みつけた。

 

「起きろ、起きろ、起きやがれッ!」

 

もちろん加減はしたつもりだった。だが、リョーヘイはウンともスンとも言わなかった。

ただ黙って蹴られるままだった。それがナナコには余計に不気味だった。

 

何とか言ったらどうなんだ、こんなにされてもまだ何も感じないのか、そんな気持ちだった。

 

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つづく