トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「ニャン太を探して」71

「ほしければ、なんでもあげるわ、カエルさん。きものでも、真珠でも、宝石でも、わたしのかぶっている金のかんむりだっていいわ。」
 

すると、カエルはこたえていいました。


 「あなたのきもの、真珠や宝石、またあなたの金のかんむり、そんなものはほしくありません。

 

 けれども、わたしをかわいがって、あなたのお相手、あなたのあそびなかまにしてくださるなら、そして、あなたとならんで食卓にすわり、あなたの金のお皿のものをいっしょにいただき、あなたといっしょのさかずきからお酒をのみ、あなたのねどこで眠らせてくださるなら、もしあなたが、これだけのことをやくそくしてくださるなら、わたしがもぐっていって、金のマリをとってきてあげましょう。」

 

グリム童話集1「カエルの王さま」より(相良守峯 訳/岩波少年文庫
 

 

 

 


第六章 氷の家

 

 

秋になった。
夜になると急に冷え冷えとした感じになり、星空が美しく映えるようになった。猫たちにとっても過ごしやすい季節なのか、暗くなるとそこかしこからニャーニャーと相手を誘う声が聞こえてくる。

 

夕食をもどかしく食べると、ニャン太は外へ出せとばかりにドアをカリカリし始める。

 

開けてやると脱兎の如く飛び出していった。やれやれ、これでまた朝帰りだわ、とナナコは思った。

 

食卓に戻るとリョーヘイが真っ赤な顔でビールを飲んでいた。

 

「……」

 

ナナコはなるだけそちらの方を見ないようにして、テレビに視線を合わせた。

 

二人の間にはすでに会話はなくなっていた。素面の時でも不機嫌なリョーヘイだったが、酔っ払うと更に言葉が荒くなった。嫌味や皮肉、突き放したような台詞しか出てこなくなり、もはや会話自体が成り立たなくなっていた。

 

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つづく