トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「ニャン太を探して」80

「うんうん、分かりました」

 

警察官は泣いているリョーヘイの肩を優しく叩くと、

 

「家はきっと買えますからね。ほら元気を出して」と言った。

 

そして、ナナコの方へ振り向くと、

 

「奥さん、ご主人もこう言っているんですから、家くらい買ってやればいいじゃありませんか? こんなに引っ越したがっているんだから」と半ば責めるような口調で言った。

 

え!? 

 

ナナコは絶句した。それは違うだろう? と思ったが、とっさに言葉が出てこなかった。

 

「……」

 

まごまごしているうちに、もう一人の警官が、「じゃあ、大丈夫そうですので、我々は帰ります」と言った。

ナナコは驚いて、帰りかけている彼らの前に駆け寄った。

 

「で、でも、今夜連れて行って、拘置所にでも一晩入れてもらえませんか。このままだと危なくて、私一人じゃどうしようもなくて……」

 

しかし警官は、「大人しいじゃないですか?」と呆れたように言った。

 

「今はね!」とナナコの声のトーンが跳ね上がった。

 

「でもそれまでは暴れていたんです。証拠もあります。どうか家の中を見てください。テーブルとか倒れているんです。家の中めちゃくちゃなんですッ!」

 

「う~ん」 

 

警官は明らかに迷惑そうだった。そして、振り返ってリョーヘイに言った。

 

「もうご主人、しませんよね」

 

ナナコは驚いた。

 

ナニ イッテンダ アナタガタハ ……。

 

するとリョーヘイは大人しくコクンと頷いた。

 

警官はほらあと言わんばかりの表情になり、

 

「ご主人もそう言っているので、もうしませんよ。それじゃあ、何かあったらまた連絡してください」

 

そう言って、再びサイレンを鳴らさずに静かに帰って行った。

 

「……」

 

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つづく