トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「ニャン太を探して」112

そういうハナエさん自身は、お舅さんの介護でパートを辞めることになってしまった。ナナコは寂しかった。なんだかんだと言いながら、側でいつもナナコを励まし支えてくれたのは、ハナエさんだったからだ。ナナコは親しい友を一人失うことになってしまったのだった。

 

そうこうしているうちに店長が異動することになり、新しい店長が来るまでの間、ナナコが店長代理として務めることになった。それまで一緒に働いていたパートの主婦仲間は、子育てや介護で、一人、また一人と職場を去っており、気がつけばナナコ一人が古株として残っていたのだった。

 

不思議なことに、あれほど働きたくないと思っていたナナコだが、結局はそんなナナコの方が一番長く仕事を続けているのだった。

 

だが、ナナコは知っていた。本当に苦しい時に支えてくれたのは、仕事だったという事を。

 

リョーヘイが毎晩のように酔っ払っては大騒ぎをしていた頃、それでも朝になるとちゃんと起きてこられたのは、仕事があったからだ。前の晩、どんなに辛くとも、まだ仕事がある、私にはまだ仕事がある、と思えたからこそ、あの辛い時期を乗り越えられたのだとナナコは感じていた。

 

だからナナコは仕事を大事にしようと考えていた。何故なら仕事は人を裏切らないから。人間ならば、どんなに愛し合ったとしても、いつかは離れてしまうものだ。

 

けれど仕事は違った。やればやった分だけ、情熱を傾ければ傾けた分だけ、結果を残せるのだ。ナナコは仕事にのめり込み、そして仕事はいつでもナナコに応えてくれた。

 

店長代理として活き活きと働くようになったナナコは、やがてその働きぶりを認められ、晴れて正式な店長として店を任されることとなった。

 

こうしたナナコの出世は彼女に大いなる自信を与えてくれた。今やナナコは以前のようなアル中の夫に悩まされる暗く怯えた主婦ではなく、スーツをきちんと着こなした自信に満ち溢れたキャリアウーマンとなっていたのだった。

 

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つづく