トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「タイム・トラブル?」1

俺がこの老人ホームへ採用されたのは、ほんの半年前のこと、福祉系の専門学校を卒業してすぐだった。

 

元々おばあちゃん子だったので、老人の扱いには慣れている―と思っていたが、そんな俺の小さなプライドなんて、現場へ出ると粉々になった。

 

とにかく忙しいのだ。山のようにやることがある。

 

最初のおむつ替えの時は、先輩にストップウォッチを持って時間を計られた。

 

この施設では、一人三分と決められているのだ。

 

それ以上超すと、「何、モタモタしてるんだ!」と怒鳴られる。

 

全くもって厳しい世界だ。

 

 

だから入居者たちとゆっくり話をするなんて事は、間違っても出来ない。

 

話をしていると、先輩たちに、色々と用事を言いつけられる。

 

奴らはまるで俺を監視しているかのようだ。

 

そんな暇があるのなら、さっさとトイレ介助や食事介助を終わらせなッ!

ってことなのだ。

 

 

そんな俺だが、若いし、元気だけはあるので、結構おばあちゃんたちからは人気がある。

 

皆「真ちゃん、真ちゃん」と呼んでかわいがってくれるのだ。

 

だが、おじいちゃんたちは駄目だね。じいさんたちはなんだか一日中、ムスッとした不機嫌な顔で、一言も喋らずに新聞なんか読んでいるのだ。

 

まるで、喋ると損、とでも思っているようだった。

 

 

 

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つづく