トナリのサイコパス

どこにでもいるヤバイ奴。そうあなたの隣にも―。さて、今宵あなたの下へ訪れるサイコパスは―?

「タイム・トラブル?」2

そんな中、一人気になるじいさんが居た。

 

田中さん。

 

田中さんは認知症がかなり進んでいるようで、俺が最初に挨拶したときには、胸の前で手をギュッと合わせて「小僧、お前も俺の金目当てで来たのかッ!」と睨みつけられた。

 

俺はギョッとなったが、先輩の河合さんは、

 

「田中さんは、なんだか自分をお金持ちだと思っているのよね」と言って笑った。

 

これが、いわゆる「金取られ妄想」と言うものか……と俺は思ったが、どうやら田中さんは、来る人来る人、皆にそう言っているようだった。

 

田中さんの経歴を見ると、小さな自動車整備工場を経営していたが、それが潰れた後、葬儀屋で働いていたということだった。

 

とてもそんな大金を持っているようには見えないけれど、とにかく彼は首からぶら下げた汚い巾着袋を後生大事に持っており、人を見ると、「俺の金を奪いに来やがって!」と口汚く罵るのだった。

 

 

f:id:pamondou:20200826103337j:plain

 

つづく